エアコンの配管用の穴あけ工事は幾つも注意すべき点があります

投稿 2025年10月8日　更新 2025年10月7日

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　最近、エアコンの工事において、劣悪な施工について話題になっていますが、エアコンの配管用の穴あけ工事は、建物の構造や機能に深く関わるため、慎重に行う必要があります。幾つか注意点があるので紹介しましょう。

◆建物の構造に関わる注意点（最重要）

　誤って建物の主要な構造材を傷つけると、家の強度（耐震性）が低下し、大きなリスクとなります。

・柱・筋交いを避ける
　壁の裏にある柱（本柱・間柱）や、建物の強度を高めるために斜めに入っている筋交いに穴を開けてはいけません。

・事前調査
　穴あけ前に、建築図面を確認したり、下地探知機（柱や筋交いの位置を調べる機器）を使用して、内部の構造を把握する必要があります。

・位置の決定
　筋交いのない、柱から離れた場所（一般的に室内機の右下または左下）を選びます。

◆内部の設備・配線に関わる注意点

　壁の中には電気や水道の配管が通っている可能性があるため、これらを破損すると漏電や水漏れの原因になります。

・電気配線・コンセント
　電気の配線を切断しないように注意します。特にコンセントの近くは配線が通っている可能性が高いです。また、最近ではインターネットのLANなども同じです。特に壁の裏側という事で配管されていない場合もあるため、注意が必要です。

・水道管・ガス管
　壁の内部に水道管やガス管などの配管が通っていないか、事前に確認します。

◆排水（水漏れ）に関わる注意点

　エアコンの運転で発生する水をスムーズに排出するための傾斜（勾配）と、適切な処理が必要です。

・外向きの下り勾配
　穴は必ず室内側から室外側に向かって、若干（わずかに）下向きの角度（勾配）をつけて開けます。
　なお、勾配がない、または逆に室内側に傾いている（逆勾配）場合、結露水が室内に逆流し、水漏れ（壁や床の腐食、カビの原因）や、エアコン本体からの水漏れにつながります。

・スリーブ（配管貫通部材）
　穴には配管を通すための筒状の部材（スリーブ）を設置し、隙間をパテなどで塞いで気密性を確保します。
　これにより、雨水の浸入や、虫（ゴキブリ、ムカデなど）の侵入、壁の中からの冷気・暖気の漏れを防ぎます。

◆その他の注意点

・賃貸物件の場合
　賃貸物件の場合は、必ず事前に管理会社や大家さんに確認する必要があります。基本的には出る時に現状回復するという契約になっている事が多いかと思いますので、穴あけは出来ない事が多いでしょう。無断で工事をすると契約違反や賠償責任につながる可能性があります。

・石綿（アスベスト）の有無
　建物の竣工時期によっては、外壁材などに石綿（アスベスト）が含まれている可能性があります。穴あけ工事を行う際は、法令に基づき、事前に石綿含有調査を行う必要があります。

・騒音・振動
　穴あけ作業（特にコアドリル使用時）は騒音や振動が発生するため、近隣への配慮（事前の挨拶など）も重要です。

　これらの注意点を守り、正確な作業を行うには、専用の工具（コアドリルなど）や建物の構造に関する専門知識が不可欠です。建物の安全性を確保し、水漏れなどのトラブルを防ぐためにも、エアコンの穴あけ工事は必ず専門の業者に依頼してください。特に、DIYでの実施は、建物の構造を損なうなどのリスクが非常に高いため推奨されません。